3軸のバス
バスを含めた日本の自動車の規格は道路運送車両法に定められ、道路運送車両の保安基準は「長さ12メートル、幅2.5メートル、高さ3.8メートル以下」で「軸重10トン、輪荷重5トン以下」となっています。通常の観光バスは前後1軸づつの、2軸レイアウトが主流ですが、2階建てバスなど一部の車両は後輪2軸、前後で3軸のレイアウトを採用しています。はとバスが創業したころはエンジンを車両の前方に搭載したボンネットバスが主流でしたが、いずれは車両のサイズをより有効に使用できる箱型バスへと進化しました。箱型バスの多くは後部にエンジンを搭載するリヤエンジンバスとなり、今日の大型観光バスはほとんどがこのタイプです。1980年代に入ると、観光バスの車両は高速道路での運行にも対応し得る大きなエンジンと、より多くのお客さまを乗せる仕様あるいは電子レンジなど豪華な装備が付いたサロンカー仕様が増え、後輪車軸を10トン以内に押えるのが困難になっていました。当時、ヨーロッパから輸入されたバスのほとんどは2階建てバスやスーパーハイデッカーで、軸重の基準を満たすために後輪2軸の構造を採用していました。各メーカーが発売した国産2階建てバスも、量産タイプは後輪2軸のレイアウトを採用しましたが、スーパーハイデッカーを本命と捉えていたメーカーの一部は仕様対応性の向上を目的に、2階建てバス以外でも後輪2軸のバスを展開しました。後輪2軸の3軸バスは様々な仕様に対応できるバスとして評価されたものの、各コンポーネントの軽量化とタイヤが多いことによるランニングコストのデメリットがあいまって、いずれは困難とされたスーパーハイデッカーも2軸の車両が主流となりました。しかし、3軸のスーパーハイデッカー車両には見た目のインパクトもあり、独特の存在感で人気を博しました。
写真② 1980年代には、車両の重量化に対応するために日産ディーゼルはハイデッカーの3軸車を登場させました。2階建てバスは2軸目が駆動軸であるのに対し、この車両は3軸目が駆動軸となっています。(蒲生観光バス)
写真③ 車体はハイデッカーと共通のデザインですが、シャーシは2階建てバスがベースとなっている日産ディーゼルの国産スーパーハイデッカー。この車両は2軸目が駆動軸です。(藤田観光自動車)
写真④
写真③の後継車として登場したスーパーハイデッカー。ボディデザインが一新され、かなり印象が違います。(江ノ島電鉄)
写真⑤ 三菱ふそうも3軸レイアウトのスーパーハイデッカーを展開いていました。エアロバスのデザインとエアロキングのシャーシを組み合わせた意欲作でした。(新日本観光自動車)
~次回「はとバスの歴代の輸入バス①」予定~
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