はとバスの珍車シリーズ② 青いセレガ
黄色くないはとバスと言えば、漆黒色の豪華バス「ピアニシモIII」が有名ですが、実は1991年にも黄色くないはとバスが導入されていました。その車両は中型バス「セレガ」ですが、「ピアニシモIII」が主に企画募集旅行に使用されかなり広く知られているのに対して、メタリックなダークブルーを纏った「セレガ」は小さな団体用の貸切バスとして導入された為、意外と見る機会の少ないバスでした。「セレガ」の特徴は、外観のデザインだけではなく、車内も前方が横3列の独立シート、後部が回転機能付き2人掛シート、最後部が5人掛けシートという配列でした。当時は夜行高速バスが大人気で、特に横3列・中央トイレの仕様の高速バスが数多く活躍していました。従って、高速バスに刺激を受けた横3列の配列をした観光バスも散見できましたが、ほとんどが大型バスで、「セレガ」のように中型バスでは極めてめずらしい存在でした。車内が特別仕様のこの車両を外観でも差別化を図る為にメタリック・ダークブルーのカラーデザインが採用されました。実はダークカラーはボディの仕上がりによってかなり印象が異なるので、当時は好んで選択する事業者は決して多くなく、この点でも「セレガ」は画期的な車両でした。ダークカラーの魅力をフルに活かすにはボディの仕上げが重要であり、メタリック・ブルーの色合いへの拘りと相まって、この車両の製造過程ではメーカーには大分負担をかけてしまったそうです。この車両は貸切用ですので、遠方へ運行されることも少なくありませんでした。観光地の食事場所や旅館では、はとバスは黄色のバスとのイメージが強いためか、青いはとバスでお邪魔してもなかなか気づいてもらえなかったと言う話もたびたび耳にしました。この車両には、当時のはとバスでは珍しい会社表示窓(俗にいうアンドン)を前面に装備していましたが、少しでもはとバスであることをアピールする上では必需品であったのかもしれませんね。
写真① メタリック・ダークブルーのデザインで登場した中型バス「セレガ」。黄色のバスが多いはとバスでは異色を放っていました。
写真② 中型バスでは珍しい横3列のシート配列の車内。
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