はとバスの中型バス②

 1981年に中型バスの10台体制を確立したはとバスは中型バスの新規導入を一時期見送っていましたが、1985年には初導入された1977年式の車両の代替として2台の新しい中型バスを導入しました。1980年と1981年には大型幅の短いバスを計4台導入しましたが、1985年には久しぶりに中型幅のバスが2台導入されました。導入されたのは日野P-RR192BAで、全幅は2.3mなものの、全長は8.99mあり、このクラスではまだ珍しかったエアサスペンションを採用していました。この車両のもう一つの大きな特徴は、最後部の座席がソファになっていることで、後部座席を回転することにより本格的なサロンバスとして利用することができたことです。このバスは、当時のはとバスにとっては究極の中型バスとして、大変重宝されました。翌1986年には再び「大型幅の短いバス」が3台導入されましたが、新モデルとして登場した日野P-RU192ABが初めて採用されました。それまでは「大型幅の短い観光バス」は三菱ふそうのみが製造していましたが、この市場に日野が満を持して登場させたのがこのモデルです。このクラスに対して両社は異なったアプローチをし、当時の三菱ふそうが「中型バスの幅を広くした」デザインであったのに対し、日野の車両は「大型バスを短くした」デザインでした。この車両から再び最後部は通常のリクライニングする座席に変更され、後部座席が回転するセミサロン仕様となりました。1987年には6台、1988年には更に2台の計11台が導入されましたが、これ以降ははとバスの貸切用途の中型バスの新規導入は全て「大型幅の短い観光バス」となりました。1991年にははとバス初の日野セレガ(U-RU1HHAB)として、以前ご紹介したメタリック・ダークブルーの特別仕様車が2台導入されました。(2021年4月28日のエントリーをご参照願います)更に、日野セレガは1995年に3台(U-RU1HHAB)と1996年に2台(KC-RU1JHCB)導入されましたが、この5台ははとバスのレギュラーカラーであるイエローを纏い、車内も他の標準的な中型バス同様セミサロン仕様でした。以降、貸切用途の中型バスの導入は途絶えていましたが、2013年には何と17年振りとなる中型バスが1台導入されました。この車両は三菱ふそうTDG-MM96FHで、はとバスにとっては実に32年振りの三菱ふそう製中型バスとなりました。現在、はとバスの中型バスは全て引退をしてしまいましたが、「少人数のグループ」という需要に支えられる大切な役割を果たしました。実は、今回は取り上げませんでしたが、定期観光バス用の中型バスもかつては導入されたことがありました。これらの車両については、違う機会に改めてご紹介します。


写真① 1985年に2台導入された日野P-RR192BA。はとバスでは珍しいソファを備えたサロンバス仕様の中型バス。はとバス最後の貸切用途の中型幅のバス。

写真② 上記車両の室内。後部座席が回転するタイプでしたが、ソファと相まって本格的なサロンとして利用できました。


写真③ 日野初の「大型幅の短いバス」として導入された日野P-RU192AB。計11台と大量に導入されました。

写真④ 以前もご紹介したメタリック・ダークブルーの特別仕様車。はとバス初の品セレガでした。


写真⑤ 標準的なカラーの日野セレガ。黄色いセレガも計5台導入されました。


写真⑥ 2013年に17年振りとなる貸切用途の中型バスが導入されました。三菱ふそう製が導入され、はとバス唯一のエアロエースでした。


写真⑦ 2000年代に撮影されたパンフレット用の写真。真ん中の「5274」を付けている日野セレガが中型バス(大型幅の短いバス)ですが、右隣の大型ハイデッカー両と比較しても全く遜色がありません。

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