ピアニシモ


 はとバスが1971年登場した「スーパーバス」以来、約30年振りのオリジナルバスとなる「はとまるくん」を導入したのは2001年3月でした。はとバスは車両自体を東京都内で運行する定期観光コースの大きな要素の一つととらえ、特に車両をアピールするコースもラインアップしていました。従って、1970年代以降は定期観光の看板車両として都内観光に特化した車両を一定の台数を常に保有していました。

一方、郊外の日帰り・宿泊コースは永年系列会社のはとバス旅行との2社体制でコースの企画・募集を行っていましたが、1998年からははとバスの1社体制となりました。バス旅行を提供する会社が多い中で、バス会社であるはとバスが企画するツアーの強みは何かと検証した結果、バス会社ならではの車両を前面に出したコースの造成ではないかとの結論に至りました。その為には、定期観光に特化した車両を都内で運行しているように、郊外で運行する日帰り・宿泊コースに特化した車両の開発が必要でした。

はとバスは以前から「ニューパノラマ」、「スーパーデッカー」、「アステローペ」などその時代時代の貸切観光バスのフラグシップを使用した日帰り・宿泊コースを設定していましたが、いずれも団体旅行をも視野に入れた車両の転用でした。

新しい試みとして、企画旅行に特化した車両の開発が始まりました。各バスメーカーと意見交換を行い、検討が重ねられました。当時は横3列の独立した座席配置の高速バスが人気を博していましたが、この配列をアレンジした横2+1の3列シートや、シートピッチを広くするなど長距離でも快適に過ごせる空間にこだわりました。その結果、従来は55人乗りであるバスをゆったりとした28人乗りとし、更にマッサージ機能付きシートや座席毎の音響など究極のバス旅行を体験できる車両の実現を目指して開発されたのが「ピアニシモ」でした。

はとバス初の企画旅行に特化した「ピアニシモ」が登場したのは2002年でしたが、デビューと同時に大人気となり、翌2003年には姉妹車「フォルテシモ」も登場しました。2009年には「ピアニシモ」の大改造が行われ、トイレを備えた「ピアニシモII」に生まれ変われました。これら車両の活躍の結果、それ以降はとバスでは企画旅行に特化した車両を常に保有し、ワンランク上の旅行を提供しています。

【写真解説】

写真①

「ピアニシモ」は一般車と同じいすゞ・ガーラIIIグレースハイデッカーをベースに、車内のみならず外観も差別化を図りました。特に車両の下部は道路の反射が映り込んでも違和感のないようなシルバーを採用しましたが、デザイナーの拘りで前年導入された「はとまるくん」と比べるとやや明るくなっています。その理由はこのバスの特性にありました。「ピアンシモ」は主に郊外に向けて運行されていた為、自然の中でより映えるようにと配慮されていました。

写真②

2009年に「ピアニシモII」に生まれ変わりました。内装のアップグレードと同時に、車体デザインも大幅に変更されました。


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