細かい拘り

 バス会社にとって、バスの車両は商売道具であり、お客さまに訴求できる広告看板でもあります。特に観光バスは大きさ故に目立つ自動車です。従って、バス車両がそのバス会社を印象付けることも少なくないでしょう。

日本で観光バス車両を製造する会社は限られています。そこで、バス会社はメーカーが製造する自社カラーを纏った車両をいかに「格好良く」し、差別化するか知恵を絞ります。

また、同じバス会社の同じタイプの車両を見比べてみると、実は細かい相違点があることも珍しくありません。車内の仕様や装備は実際に乗ってみないと分かりづらいですが、外観は駐車場などで見比べると意外と見つけることが可能です。

基本的にバス会社は均一したサービスを提供するために、多くの場合、同じ・同等の物を揃える傾向にあると思います。しかしその反面、他のバス事業者あるいは前回の自社購入車両よりは改良を加えたいと言う欲望もあります。よって、バス車両は元々受注生産されているので、同じモデルでも事業者によって大分印象が違ったり、事業者によっては購入時期によって同じモデルでも印象が異なるなんていうことも珍しくありません。

【写真解説】

写真①、②

日本の観光バスは前面に会社表示窓(俗に言うアンドン)を装着することが多いですが、はとバスは長い間、あえてアンドンレスでバスを導入していました。ガーラIIIのように、アンドンがデザインの大きなポイントを占めるモデルでもしかりで、前面「HATO BUS」の文字の位置が中央に定まるまで試行錯誤が重ねられました。写真①は都自動車のアンドンの付いたガーラIII、写真②はアンドンレスで、社名が中央に表示されたはとバスです。


写真③~⑥

細かい拘りの例。1988年に初導入された富士重工製スーパーハイデッカーの前面屋根部分も、塗分けが落ち着くまで3種類の塗分けパターンが採用されました。1988年の車両は白色一色でしたが、翌1989年からは窓をより大きく見せる為に黒色の帯が追加されました。(写真③、左2台が1988年導入の帯なし仕様)1989年春の車両のみ太く(写真④)、1989年の夏以降の車両はやや細い帯で落ち着きました。(写真⑤)同時期に導入された似たデザインのアステローペは、当時のダブルデッカーと共通の塗分けで登場しました。(写真⑥)

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