はとバスの歴代の輸入車⑧バンホール新アストロメガ
はとバスの歴代の輸入車⑧バンホール新アストロメガ
最後まで生産されていた国産ダブルデッカー、三菱ふそう・エアロクングも2010年には製造が終了してしまいました。しかし、日本国内のダブルデッカー需要は限定的であるが故に、当分は代替を含めてもダブルデッカーが必要とされる場面は少ないと考えられていました。
一方、ダブルデッカーは1982年秋の初導入以来、常にはとバスの看板車両として位置付けられていました。特に定期観光ではダブルデッカーを使用したコースは人気が高く、それ以降ヨーロコメット、アストロメガ、はとまるくんなどの特殊車両も導入されましたが、ダブルデッカーは永年に亘って安定した人気を誇っていました。従って、はとバスにとってポスト・エアロキング探しが重要な課題となりました。
ご存知のように、海外で日本の車両保安基準に適合するダブルデッカーの既製品を探すのは容易ではありません。むしろ不可能と言った方が正解かも知れません。特に欧米の観光バスは全長と全幅が日本基準を超過するモデルが主流となり、ハイデッカーでさえ日本基準である全高3.8mを超えるモデルも少なくありません。従って、日本市場向けには日本基準に適合したダブルデッカーをカスタマイズするしか方法はありません。
ヨーロッパを中心に各メーカーに働きかけても、日本仕様にカスタマイズする手間・費用と日本市場の規模のバランスが悪く、なかなか良い反応を示すメーカーは見つかりませんでした。そのような状況のなか、かつてダブルデッカーを購入したことがあるバンホールとの話し合いが行われ、粘り強い交渉の結果、日本向けダブルデッカーの製造に合意しました。
日本仕様への設計変更には時間を要しましたが、日本でトラックを展開しているスカニア製シャーシを採用した第1号車が晴れて登場したのは2016年でした。はとバスにとっては1997年導入のアストロメガ以来のダブルデッカーの輸入車であり、定期観光用として導入されました。それ以降2017年に2回に分けて計4台が同じ定期観光用に導入され、はとバスのダブルデッカーのニューフェイスとして定着しました。
2020年にはトイレを装着した貸切観光用アストロメガが2台導入されました。主に企画旅行で運行されていますが、貸切観光用ダブルデッカーは1984年導入のドレクメーラー以来
となりました。はとバスでは定期観光用5台と併せて、計7台のアストロメガが活躍中です。
【写真解説】
写真①
2016年に導入された新しいアストロメガの第1号車。前面の「SCANIA」マークが特徴です。
写真②と③
2017年は2月と12月に2台ずつ、計4台が導入されました。2月に導入された車両(写真②)と12月に導入された車両ですが(写真③)、12月導入車両はバンホールの創立70周年ロゴや側面のカメラなどが特徴です。
写真④
2020年に2台が導入されたトイレを装着した貸切観光用アストロメガ。定期観光用とは異なる青いストライプが外観上の特徴です。
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