フォルテシモ


  前回は2002年に登場したはとバスの豪華バス「ピアニシモ」をご紹介しましたが、今回はその翌年に登場した姉妹車「フォルテシモ」をご紹介します。

「ピアニシモ」ははとバス初の郊外で運行する日帰り・宿泊コースに特化した車両として開発され、登場と共に大人気となりました。「ピアニシモ」は2台しかないのでコースの設定本数が限られてしまうのと、一度利用されたお客さまの「次」を期待する需要に応える為に姉妹車が計画されました。

「ピアニシモ」を開発する際にはほぼゼロからのスタートで大変でしたが、姉妹車の開発は「ピアニシモ」との差別化という、また違った高いハードルがありました。

豪華にゆったりとしたバス旅行を提供するという「ピアニシモ」と共通したコンセプトはあるものの、「フォルテシモ」は車内の「プライベート空間」という当時は夜行高速バスでもあまり見ることが出来なかった独自のテーマにチャレンジしました。その背景には、バス旅行が長距離化し、高速道路を走行する時間が長くなるにつれて、車内ではご夫婦、御一人、小グループでプライベートな時間を過ごしたいという需要の存在でした。

観光バスの本来の魅力である眺望の良さと、それと相反するプライベート空間を実現するために研究が重ねられ、最終的には「ピアニシモ」に似たシート配列ながら前後左右からのプライバシーが確保できる大型シートの採用が決定しました。

それまでの眺望を重視するはとバスのコンセプトとは一線を画した「フォルテシモ」は2003年の秋にデビューしました。「ピアニシモ」は豪華な観光バスという明確なコンセプトであったのに対して、姉妹車の「フォルテシモ」はプライベート空間を楽しめる観光バスというコンセプトをもっての登場でした。

運行開始した「フォルテシモ」も人気を博し、はとバスとしてプライベート空間の実現という新しいコンセプトにチャレンジした「フォルテシモ」も、間違いなくはとバスが現在運行している豪華バスの礎を築いた車両の1台と言えるでしょう。


写真①

「フォルテシモ」も「ピアニシモ」同様いすゞ・ガーラIII、グレースハイデッカーがベースです。大きな特徴は1960年代、アメリカのステーションワゴン等で流行った「ウッディー」を彷彿させる木目調の帯でした。前面も2枚分割ガラスのサンを黄色とし、「2階建てバス風」にしていました。

写真②

茶色の帯の幅は、デザイナーの設計図を基に、大きな茶色の素材を実際のはとバスのガーラIIIにあてがって、様々な幅を遠くから実車で確認しながら決定されました。「ピアニシモ」同様、ガーラの観光バスでは珍しい後部1枚窓を採用していました。

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